血液型について調べたら、想像以上に面白かった話
血液型って、性格診断の話でよく出てきますよね。
「A型は几帳面」「B型はマイペース」「O型は大らか」「AB型は二面性」。飲み会のネタで、みんな一回はやったことがあると思います。
僕は昔から、あの性格診断は全然信じていませんでした。「血液型で性格が決まるわけないでしょ」と、ちょっと冷めた目で見ていた。
ただ、ある時ふと思ったんです。
そもそも、なんで血液型って違うんだろう?
A型とB型って何が違うの? なんでO型は誰にでも輸血できるの? AB型はなんで全員から受けられるの?
調べ始めたら、これが想像以上に面白くて。人類の歴史、進化、医療の失敗談まで絡んできて、ずっと読んでいられました。
今日はその中で、特に「へえ!」となった話をまとめてみます。
血は、実は「薬」扱いらしい
まず一つ目にびっくりしたのがこれ。
血液は、人体から出た瞬間に「医薬品」として扱われるらしいんです。薬事法の対象になる。
だから昔は、血液を売買できた時代があった。いわゆる「売血制度」。お金に困った人が自分の血を売ってお金を得る、ということが普通に行われていた。
でも、お金目当てで過剰に売血する人が増えて社会問題になり、政府が動いて献血制度に切り替わったそうです。
今は「献血=善意」のイメージが強いですが、数十年前までは「血を売る」ことが経済活動として成立していたんですね。
歴史の流れを考えると、血液をめぐる人間社会の変化が面白いなと思いました。
昔の人は、ヒツジの血を人間に輸血していた
次にびっくりしたのが、輸血の歴史の話。
輸血って現代の医療技術だと思っていたんですが、実は1667年に最初の輸血が行われたらしいんです。350年以上前。
しかも、何を輸血したかというと、ヒツジの血。
フランスの医者が、精神病患者にヒツジの血を輸血したそうです。理由は「ヒツジの穏やかな血が、怒りを静めるだろう」という、今聞くと意味が分からない論理。
驚くべきことに、1回目の輸血で患者は死ななかった。むしろ精神状態がよくなったように見えた、らしい。
これで調子に乗って2回目を実施したら、今度は尿が黒くなって、ほどなく死亡。医者は殺人容疑で告発されたとのこと。
今の感覚で考えると「そりゃそうだろ」ってなるんですが、当時は血液型どころか、血の仕組みもほぼ分かっていなかったから、こんな実験が普通に行われていた。
その後200年以上、**輸血は「運次第のギャンブル」**だったそうです。
血液型が発見されたのは、たった120年前
実は、血液型が発見されたのは1900年。たった120年ちょっと前です。
オーストリアの科学者カール・ラントシュタイナーという人が、同僚22人の血を集めて、お互いに混ぜ合わせる実験をした。すると、3パターンに分かれることが分かった。これが「A型・B型・O型」の発見でした。
ちなみに面白いのが、O型は最初「C型」と呼ばれていたらしいんです。
でも、AB両方に反応しないことから「霊(れい)型」と呼び方が変わり、「零(ゼロ)」に進化して、最終的に英字の「O」と混同されて定着したらしい。
「ゼロ」と「オー」を見間違えたせいで、今の「O型」という呼び方になっている。名前の由来がまさかのタイプミスみたいな話で、笑ってしまいました。
その翌年の1901年にAB型も発見されて、この業績でラントシュタイナーはノーベル賞を受賞しています。
僕らが何気なく「A型です」「O型です」と言えるのは、この120年前の発見のおかげなんですね。
大統領が、血を抜かれすぎて死んだ話
これもかなり衝撃でした。
昔は**「血を抜けば病気が治る」**という考え方があったらしいんです。いわゆる瀉血(しゃけつ)。
なんと、アメリカ初代大統領のジョージ・ワシントンも、血を抜きすぎて死んだと言われている。
風邪をひいて発熱した時、主治医が瀉血を試みた。でもよくならない。だからまた抜く。それでもよくならない。また抜く…。
結果、大量出血が原因で死亡したそうです。
病気を治すはずの治療で死んでいる。本末転倒すぎて笑ってしまうんですが、当時の医学ではそれが真面目に行われていたんですよね。
「血が悪いから病気になる」→「じゃあ悪い血を抜こう」→「足りなくなる」→「さらに抜く」。
今から考えると完全にアウトだけど、その時代の常識は、その時代でしか正しくない。そういう歴史の教訓として面白かったです。
血液型は、腸内細菌の違いから生まれた
ここからが本題。
血液型って、何がどう違うのか知っていますか? 僕は正直「赤い血と赤い血、何が違うの?」レベルでした。
実は、赤血球の表面についているタンパク質が違うだけなんだそうです。
- A型:A型タンパク質がついている
- B型:B型タンパク質がついている
- AB型:両方ついている
- O型:何もついていない
つまりO型が一番シンプルで、AB型が一番複雑ということになる。
そして、もっと驚いたのがこれ。
元々、人類はみんなO型だったらしいんです。
10万年前にアフリカで生まれたホモサピエンスは、全員O型。各地の先住民のほとんどが今もO型なのが、その証拠とされている。
じゃあA型やB型はどこから来たのか。
答えは、腸内細菌。
人類がアフリカを出て各地に広がったとき、食べ物が変わりました。アジアに行った人たちは穀物を育てて食べるようになる。すると、腸内細菌がその食事に合わせて変わっていく。
そして、その腸内細菌の遺伝子の一部が、人間の遺伝子に取り込まれた。これが「A型」が生まれた理由らしいんです。
B型は遊牧民族の家畜の肉や乳に合わせて、同じように腸内細菌から遺伝子が変化した結果。
つまり、血液型は「何を食べてきたか」の記録だったんですね。
AB型に至っては、誕生してまだ1000年程度と言われていて、かなり新しい血液型らしい。
これを知ったとき、「血液型で性格を判断するのは無理があるけど、食文化と結びついた歴史はある」と納得しました。
ついでに、AB型とA型の両親からだとAB型かA型の子が生まれるとか、A型の子が生まれるには片親にA型の遺伝子が必要とか、そういう遺伝の話も全部この赤血球タンパク質の組み合わせで説明できるらしいです。
血液型が遺伝する仕組みって、ただの「親から子へ」みたいな曖昧な話じゃなくて、ちゃんとタンパク質の分子レベルで説明がつく。こういう「当たり前のことに、実はちゃんとした仕組みがある」という話、僕はけっこう好きです。
血液型は、唾液や粘液でも違う
これもへえと思った話。
血液型は「血液の型」と思いがちですが、実は唾液や粘液、他の体液でも同じ違いが出るそうです。
刑事ドラマで「犯人のタバコの吸い殻から血液型を判定した」みたいなシーンがありますよね。あれが可能なのは、唾液にも血液型が出るから。
血液で最初に発見されたから「血液型」と呼ばれているだけで、実際には全身のタンパク質の型なんです。
言い方を変えると、血液型は「体質の型」に近い。ただし、性格とは全く関係ない。
そもそも、血液型で性格が決まるという科学的根拠は存在しないのですが、これは日本と韓国など一部の国でしか広まっていない文化だそうです。
欧米ではそもそも自分の血液型を知らない人の方が多いらしい。血液型を気にするのは、わりと極東の特殊な文化だったんですね。
50mLの輸血ミスで、人は死ぬ
これは怖い話。
違う血液型を50mL輸血されただけで、人は死ぬことがあるそうです。
50mLって、おちょこ1杯分くらい。
そんな少量で死ぬって、かなり怖くないですか。
理由は、免疫システムが過剰反応を起こすから。
僕らの体は、外から入ってきたウイルスや細菌を「敵」として攻撃するようにできている。これが免疫。
そして、違う血液型のタンパク質は、体から見るとウイルスに似て見える。だから攻撃してしまう。
攻撃された赤血球は、固まってしまったり、壊れたりする。これが血管の中で起きると、命に関わるわけです。
「いや、同じ人間の血じゃん」と思うんですが、体の免疫はそんなに融通がきかない。人間の体は思った以上に、細かいところで他人を拒絶するようになっていたんですね。
ちなみに、同じ血液型の血液を輸血できる理由もシンプルです。
自分の赤血球に元々ついているタンパク質と同じものなら、免疫は「自分のもの」と判断して攻撃しない。「自分の家の人には攻撃しないけど、知らない人には警戒する」というヤンキーみたいな性質を、僕らの免疫は持っているそうです。
この比喩がすごく分かりやすくて、頭に残りました。免疫=身内に甘く、他人に厳しいヤンキー。
O型が「誰にでも輸血できる」本当の理由
ここも面白かった話。
よく言われるのが「O型は誰にでも輸血できる万能ドナー」というやつ。
これ、表面的には「O型の血が万能なんだな」と思うんですが、仕組みを知るとかなり奥深かったです。
O型の赤血球は、表面に何もタンパク質がついていない。だから、他の血液型の人の体に入っても、「攻撃される要素がない」。だから受け入れられる。
逆にAB型は、自分のタンパク質を2種類持っているから、他のどんな血液型が入ってきても敵視しない。だから全部受け入れられる。
これ、よく考えるとすごく綺麗な仕組みですよね。
O型=誰の中にも溶け込める(けど自分は他人を受け入れにくい) AB型=自分は全員を受け入れられる(けど他人には溶け込めない)
そう思うと、なんか人間関係の話にも似ている気がして、ちょっと笑ってしまいました。
ただ、実はこの「O型が万能」説にもツッコミどころがあるそうです。
**「O型の血液の中にも、A型やB型への攻撃抗体は含まれている」**という問題があって。理論上、O型の血を他の血液型に輸血すると、その攻撃抗体が他の血球を壊してしまう可能性があるはずなんです。
でも実際は、抗体は小さく拡散されやすいから、大量に輸血しなければ問題にならない。赤血球は抗体の1000倍以上も大きくて、血管の中ですぐには拡散しない。
だから「O型は万能」は条件付きで正しいという話らしいです。
現代では安全を最優先するので、基本的に同じ血液型同士の輸血が行われている。O型が誰にでも輸血できるのは、あくまで緊急時の話なんですね。
妊娠中にも、血液型が関係する
最後にこれも重要な話。
RH型という血液型の話があります。ABO型とは別に、「RH+」と「RH-」に分かれる血液型の区分。
この「RH」という名前、**アカゲザル(Rhesus Monkey)**から来ているそうです。最初にアカゲザルの血液で実験して発見されたから、その頭文字を取っただけ、という。命名の由来がすごくシンプルで、これもちょっと笑いました。
日本人はほとんどRH+で、RH-は約0.5%しかいないらしい。
この違いが問題になるのが、妊娠。
母親が「RH-」で、お腹の赤ちゃんが「RH+」だと、1回目の出産時に母親の体にRH+に対する抗体ができることがある。
すると、2人目の妊娠時に、その抗体が胎盤を通過して赤ちゃんを攻撃してしまうことがある。
ちなみにABO型の抗体は胎盤のフィルターで通れないのに対して、RH型の抗体は小さいから胎盤を通過できてしまうらしい。抗体のサイズの違いが、そのまま命に関わってくる。
これが昔は、妊娠の大きなリスクだった。
現代では、出産直後に中和する注射を打つことで、完全に防げるようになっている。
医学の進歩がなかったら、この事実は第二子が生まれにくい体質として片付けられていたかもしれないんですよね。原因が分かって対策ができるって、本当にすごいことだなと思いました。
まとめ:血液型は、歴史と人類の記録
長くなりましたが、最後にまとめておきます。
僕が調べて驚いた、血液型の雑学。
- ①血は実は医薬品扱い、昔は売血制度もあった
- ②昔はヒツジの血を輸血していた(1667年)
- ③ワシントン大統領は瀉血で死んだ
- ④血液型の発見は120年前、O型は元C型だった
- ⑤血液型は赤血球表面のタンパク質の違い
- ⑥元々人類はみんなO型だった
- ⑦A型・B型は腸内細菌から生まれた
- ⑧AB型は誕生してまだ1000年程度
- ⑨血液型は唾液や粘液でも判定できる
- ⑩違う血液型を50mLで人は死ぬ
- ⑪RH型はアカゲザルが由来、妊娠にも関係する
一番面白かったのは、**「血液型は何を食べてきたかの記録」**という話でした。
A型もB型も、ただ色分けされた分類じゃなくて、人類が各地に広がって違う食生活をした歴史の痕跡だった。
性格診断は科学的根拠がないけど、血液型そのものには、人類の大きな物語が詰まっている。
次に献血や血液検査の話が出たとき、ちょっと違う視線で血液型を見られる気がしました。
自分のO型は、元祖の人類と同じ型だったんだな、と。それだけで、なんとなく血が愛おしくなりました。
献血に行ったら、今度は**「この血、10万年分の歴史が入ってるんだよな」**と思いながら袋を眺めてみようと思います。少しだけ特別な気分になれそうです。



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