虫は苦手なのに、調べ始めたら面白くて止まらなかった話
僕、正直に言うと虫が苦手です。
Gは論外として、カマキリもコガネムシもセミも、近づいてくると軽く身構えます。夏になるたびに「なんで地球ってこんなに虫がいるんだろう」と毎年思ってきました。
で、その「なんでこんなに虫がいるんだ」という疑問が頭に残っていて、ある日ふと調べ始めたんです。寝る前にスマホで、軽い気持ちで。
そしたら、想像以上に面白くて止まらなくなりました。
苦手なはずの虫が、調べれば調べるほど「すごくよくできている生き物」に見えてきて、見方がちょっと変わった。
今日はその中で、特に「へえ!」となった3つの話を紹介します。虫が苦手な人こそ、読んでいて面白いかもしれません。
そもそも地球は、ほぼ虫しかいない星だった
最初にびっくりしたのが、地球上の動物の種類の数です。
動物って全部でどれくらいいると思いますか? 僕はざっくり「1万種くらい?」と思っていました。
ところが実際は、ざっくり100万種を超えるらしい。
内訳がまた衝撃的で、こんな感じです。
- 哺乳類:約6,000種
- 鳥類:約9,000種
- 爬虫類:約10,000種
- 両生類:約7,000種
- 魚類:約30,000種
- 昆虫:約1,000,000種(100万種)
…昆虫だけ桁が違いすぎる。
進化の最先端と言われる哺乳類の、なんと160倍以上います。
この数字を見て、「地球って、ほぼ昆虫しかいない星じゃないか」と思いました。宇宙人が来ないのも、なんか納得してしまう。
哺乳類より昆虫の方が「進化した」のかと思いきや、話はもっと面白くて。体のサイズが小さいほど、突然変異が起きやすくて種類が増えるらしいんです。
だから哺乳類みたいな大型の動物は種類が少なくて、昆虫みたいな小さい生き物は種類が爆発的に増える。
進化の度合いと種の数は、比例しないんですね。これだけでも、もう十分面白かった。
さらに、なぜ昆虫だけこんなに繁栄したかというと、飛ぶ・変態する・休眠するという3つの能力を持っているからだと言われているそうです。
- 飛ぶ:広い範囲に移動できる(敵から逃げたり、新しい土地に進出できる)
- 変態する:幼虫と成虫で食べ物や生息地を分けられる(競合が起きにくい)
- 休眠する:冬や乾季をやり過ごせる(絶滅しにくい)
この3つが揃っている生き物って、実は他にほとんどいない。昆虫はチート3点セットを持っているみたいな存在だから、100万種にも枝分かれできたんですね。
ガチャで3回連続SSRを引いた、みたいな表現をしている人もいて、わかりやすくて笑いました。
昆虫がデカくならないのは、骨と肺がないから
次に疑問に思ったのが、**「昆虫ってなんで大きくならないんだろう」**ということ。
もし人間サイズの虫がいたら地球は乗っ取られていると思うんですけど、実際にはせいぜい25cmくらいが最大らしい。
この「大きくなれない理由」が、めちゃくちゃ面白かったです。
理由①:骨が外側にあるから
まず大前提として、昆虫には背骨がありません。
じゃあどうやって体を支えているかというと、外側の殻で支えている。いわゆる外骨格というやつです。
例えると、プリンのカップみたいな感じ。柔らかい中身を、硬いカップ(殻)で支えている。
人間は骨の外側に肉がついているから、大きくなっても骨がしっかり支えてくれる。でも昆虫は、殻の内側に肉が詰まっているから、大きくなるほど殻が重さに耐えられなくなる。
「柱のない、外壁だけの建物」みたいなものだと説明されていて、すごく腑に落ちました。
しかもこの殻、成長すると窮屈になるから脱がないといけないんですよね。いわゆる脱皮。
人間みたいに「骨が中から伸びる」ことができないから、定期的に殻を脱ぎ捨てて新しくするしかない。脱皮直後の柔らかい状態は無防備で敵に狙われやすいから、昆虫にとっては命がけのイベントらしいです。
僕らは身体が自然と大きくなっていくけど、昆虫は**「脱がないと成長できない」**。この不便さを抱えたまま、それでも進化して地球を支配したのがすごいなと思いました。
理由②:肺がないから
もう一つの理由がこれ。昆虫は肺がないらしいんです。
え? じゃあどうやって呼吸してるの? と思ったら、体にあいた小さな穴から、空気を全身に拡散させているだけなんだそうです。
これ、呼吸にエネルギーがいらないという意味ではめちゃくちゃ優秀な仕組み。でも欠点があって、体が大きくなると全身に酸素が行き渡らなくなる。
体を2倍にしようとすると、体積は8倍になるのに、空気を吸い込める表面積は4倍にしかならない。だからどんどん酸欠になる。
つまり、昆虫は物理的に巨大化できない仕組みになっているんですね。
ちなみにこの話には続きがあって、昔は酸素濃度が今より高かったから、昆虫がデカかった時代があるらしいです。
3億年前の地球は酸素濃度が今の1.5倍で、そのころのトンボには全長70cmのやつがいたとか。
70cm…想像するだけで逃げ出したくなりました。生まれた時代が違って本当によかった。
逆に言うと、酸素濃度が高ければ、昆虫はいくらでも巨大化できるということでもあります。もし今の地球の酸素濃度がもう少し高かったら、今頃僕らは人間サイズのバッタと戦っていたかもしれない。
地球環境のほんの少しの違いで、僕らの世界はまったく別物になっていた。これも、調べていて「へえ」となった話でした。
血が赤くないのは、鉄がいらないから
ついでに知って衝撃だったのが、昆虫の血は赤くないということ。
虫を潰したときに出る透明な液体、あれが血だったらしいんです。
え、あれ血なの?と思って調べたら、昆虫の血は透明か、薄い緑色が多いんですって。
なぜ赤くないか。
人間の血が赤いのは、酸素を運ぶための赤血球の中のヘモグロビンに、鉄分が入っているからです。鉄が酸素と結びつくと赤くなる(錆びた鉄と同じ原理)。
でも昆虫は、血液で酸素を運ばない。さっき書いたように、穴から拡散させて全身に運ぶ。
だから、血に鉄が必要ない。だから赤くない。
この論理の綺麗さに、ちょっと感動しました。
「血が赤い」って人間にとって当たり前すぎて疑問にも思わなかったけど、あれは酸素を運ぶ仕組みの結果だったんですね。
ちなみに、タコやイカの血は青色らしいです。彼らはヘモグロビンじゃなくて「ヘモシアニン」という銅を含んだ成分で酸素を運んでいて、銅が酸化すると青くなるから。
血の色は生き物ごとに違うし、その裏にはそれぞれの酸素の運び方がある。こういう話は、普段全く気にしていなかった生物学が急に面白く見えてきます。
なぜ、海には昆虫がいないのか
これが個人的に一番面白かった話です。
よく考えたら、昆虫って海にいないんですよね。
哺乳類も魚も鳥も、海にそれぞれの種族がいる(クジラ、魚、ペンギン)。でも、海にいる昆虫って思いつかない。
100万種もいるのに、海には一切いないって、よく考えると不思議すぎる。
さらに調べると、昆虫の祖先はエビやカニの仲間なんだそうです。
海の生き物から進化して陸に上がったのが昆虫。つまり元々は海にいたのに、わざわざ陸に上がってきて、二度と海には戻らなかった。
なぜか。
有力な説が2つあって、どちらも面白いです。
①甲殻類に席を取られているから
海にはすでにエビ、カニ、ロブスターなど、似たような体の作り(甲殻類)の生き物がいっぱいいる。
もし昆虫が海に戻っても、先客に勝てない。甲殻類の殻は硬く、昆虫の殻は軽い。殻同士で戦うと、昆虫は負けてしまう。
だから海という生態系の中に、昆虫が入り込む隙がない。
②殻の材料が海では手に入らないから
もう一つの説がこれ。昆虫とカニは殻の作り方が違うらしいんです。
- カニ(海):カルシウムで殻を作る(海水の4%がカルシウムだから、ふんだんに使える)
- 昆虫(陸):酸素を使って殻を作る(陸にはカルシウムが少ないから、空気中の酸素で代用)
昆虫が空を飛べるのは、酸素製の殻が軽くて丈夫だかららしい。
でも海に戻ると、酸素が足りなくて殻を作れない。海で昆虫が生きるには、殻を作り直さないといけないんですね。
もちろん「カルシウムで殻を作れるように進化し直せばいいじゃん」と思ったんですが、それをやるとカニと同じ土俵に立つことになる。
すでに何億年もカニが住んでいる海で、殻を固め直した昆虫が勝てるとは思えない。だから**「陸で進化したことが、そのまま海に戻れない理由」**になっている。
一度進化の方向を決めると、後戻りできないんだな、と妙に感慨深かったです。
「100万種もいるのに海には一種もいない」という事実の裏に、こんなに深い理由があるとは思いませんでした。
ちなみに、川などの淡水には昆虫がいるらしいです。タガメやゲンゴロウみたいな水生昆虫。
これは、川では甲殻類(ザリガニなど)が空を飛べないから、空を飛べる昆虫が入り込む隙があるからだそうです。海では甲殻類に勝てないけど、川なら「空を飛べる」という武器で勝負できる。
生き物って、勝てる場所で勝負しているんですね。そう考えると、自分の仕事やキャリアの話にも重ねたくなりました。
虫が光に集まるのは、光に向かってるんじゃない
最後に、これも衝撃だった話。
夏の夜、街灯に虫が集まる現象。あれ、「光に向かって飛んでいる」と思っていましたが、違うらしいんです。
虫は光に背中を向けて飛んでいるだけ。
どういうことかというと、虫は上下を認識するのが苦手なんです。
人間は重力で上下を感じられるけど、小さい虫は重力が弱すぎて感じづらい。そこで虫が使っているのが、**「光がある方が上」**という判断基準。
昼は太陽、夜は月。いつも光に対して背中を向けて飛ぶことで、自分の上下を保っている。
ところが、街灯という「地面近くの光」が出てくると話がおかしくなる。
虫は光に背を向けようとするから、街灯の上で逆さまになったり、街灯の横で旋回したりする。外から見ると、光に引き寄せられているように見えるけど、本人としては「上下を合わせているだけ」だったんです。
実験動画では、虫の下から光を当てると、虫がひっくり返って墜落するという映像もあるそうです。光の方に背を向けようとするから、ひっくり返ってしまう。
これは「光を追っている」では説明できない動きで、だからこそ**「光に背を向ける説」**の信憑性が高まっているらしいです。
普段見ている現象の裏に、こんな話が隠れているとは思いませんでした。夏の夜に街灯を眺めるたびに、ちょっと違う気持ちで虫を見るようになりそうです。
「虫は光が好き」というざっくりした理解が、完全に覆されました。
虫は光が好きなんじゃなくて、光を「上」だと思っているだけ。これを知って、街灯に集まる虫たちがちょっと可愛く見えてきた(ちょっとだけ)。
ちなみにこの「光に背を向ける」反射は、海の魚も同じ仕組みで持っているらしいです。海の中は浮力で重力を感じにくいから、魚も光を基準に上下を判断している。
重力が弱く感じられる生き物は、**「光の方向=上」**というルールで生きている。昆虫と魚でこのルールが共通しているのが、ちょっと美しいなと思いました。
まとめ:知ると、虫が少しだけ嫌じゃなくなる
長くなりましたが、最後にまとめておきます。
僕が調べて驚いた、昆虫の雑学。
- ①地球は、ほぼ昆虫しかいない星(100万種)
- ②昆虫がデカくならないのは、骨と肺がないから
- ③血が赤くないのは、鉄がいらないから
- ④海に昆虫がいないのは、殻を作れないから
- ⑤光に集まるのは、光を「上」だと勘違いしているから
これらを知って思ったのは、虫って単に気持ち悪い生き物じゃなくて、めちゃくちゃ合理的にできているということでした。
骨がないから殻を硬くする。肺がないから血を赤くしない。海には戻れないから陸で生き延びる。光に背を向けて上下を判断する。
全部に理由があって、全部がうまくハマっている。
虫が苦手という気持ちは今も変わらないけど、「一つ一つの仕組みには、ちゃんと意味がある」と思えるようになりました。
気持ち悪いと感じる見た目も、全部生き残るための合理的なデザインの結果なんですよね。硬い殻、透明な血、拡散する呼吸、光を基準にした飛び方。全部、生き延びるために最適化されてきた形。
そう思って眺めると、ゴキブリですら「この体で何億年も生き延びてきた猛者なんだな」と、少しだけ敬意が生まれました(本当に少しだけ)。
もし今度、部屋に虫が入ってきても、殺す前に「お前、肺がないんだな」と一瞬だけ思ってみるのもいいかもしれません。
それで許せるかは別ですけどね。虫とはたぶん、これからも一定の距離で付き合っていくんだと思います。



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