セルポ計画──ロズウェル事件の「その後」が壮大すぎた話
ロズウェル事件って、名前だけは聞いたことがある人が多いと思います。
1947年、アメリカのニューメキシコ州で何かが墜落した。軍は最初「空飛ぶ円盤を回収した」と発表したのに、数時間後には「気象観測用の気球でした」と訂正した。あの有名な事件です。
でも僕が本当に驚いたのは、ロズウェル事件そのものじゃなくて、その後に起きたとされる出来事の方でした。
墜落したUFOの中に生存者がいて、その宇宙人と人間が会話するようになって、最終的には12人の地球人が宇宙人の母星に送り込まれた──という話があるんです。
通称「セルポ計画」。
最初に聞いたとき、正直こう思いました。「いや、話が飛躍しすぎでしょ」と。
でも調べれば調べるほど、この計画の細部が妙にリアルで、フィクションにしては作り込みが異常なんですよね。今回はこのセルポ計画について、僕なりに掘り下げてみたいと思います。
墜落現場で見つかった「生存者」
ロズウェル事件で軍が現場に到着したとき、そこには直径約10メートルの銀色の円盤型の物体が横たわっていたとされています。
そして機内には、ビニールのような質感の肌を持つ存在が複数いた。大半は墜落の衝撃で命を落としていたけれど、1体だけ、宇宙船から少し離れた場所で生きている個体が見つかったというんです。
軍はこの生存した存在を「EBE-1(イーブワン)」と名付けました。EBEは「Extraterrestrial Biological Entity(地球外生物的実体)」の略です。
ここで僕がまず引っかかったのは、軍の対応の早さです。
見たこともない生命体を前にして、水と食料を差し出している。パニックにならずに「保護」という判断ができたということは、もしかすると軍はこういった事態をある程度想定していたんじゃないか、とも思えてくるわけです。
ちなみにイーブワンは水は飲んだけど、食べ物には見向きもしなかったそうです。まあ、地球の食事が口に合わなかったのか、そもそも食事の概念が違うのか。僕だってもし異星に不時着したら、出されたものをすぐには食べられないと思います。見た目でギブアップする自信がある。
数週間で英語を習得する知能
驚くべきことに、イーブワンは人間の言語を教えると、わずか数週間で簡単な英語を話せるようになったと報告されています。
数週間ですよ。
僕なんて英語を何年勉強しても、海外のカフェで注文するときに毎回変な汗をかくのに。彼らの知能は明らかに人間とは次元が違うレベルだったということなんでしょう。
ただし、口の構造的にLとWの発音は難しかったらしい。このディテールが妙にリアルで、作り話ならこんな細かい設定入れるかな、とつい思ってしまいます。
そしてイーブワンは、自分たちの故郷が「ゼータ・レティクル連星系にある惑星セルポ」であることを伝えました。
さらに彼が語った内容には、かなり衝撃的なものも含まれていたそうです。
地球には遺伝子操作によって創造された人類が存在するということ。彼らは過去に何度も地球を訪れており、生前のイエス・キリストと接触したことがあるということ。そして1917年のポルトガルで起きた「ファティマの聖母事件」は、実はイーブたちが地球を訪問した際の出来事だったということ──。
正直、この辺りの話は「盛りすぎじゃないか」と感じる部分もあります。歴史的な宗教事件まで自分たちの訪問に結びつけるのは、ちょっと話がうますぎる。
でも同時に、もし本当に何万年も前から地球に来ている文明があるなら、人間の歴史の中に彼らの痕跡があってもおかしくはない、とも思うんです。このあたりの「ありえないけど、完全には否定できない」感じが、この話の厄介なところです。
5つのメッセージと「セルポ計画」の始まり
イーブワンは、墜落した宇宙船から通信機と翻訳機を取り出すことを要求しました。軍がそれに応じると、彼は故郷の惑星セルポに向けて5つのメッセージを送信します。
1つ目は、自分だけが生き残り、仲間は亡くなったこと。 2つ目は、救助チームを派遣してほしいこと。 3つ目は、自分を保護してくれた地球人と正式に面会してほしいこと。 4つ目は、地球とセルポの間で交流事業を行ってはどうかということ。 5つ目は、救助チームが着陸できる座標の情報。
この4つ目がポイントです。これは軍と政府の側からイーブワンに提案されたものだとされています。つまり、アメリカ政府は最初から「この接触を外交的に利用しよう」と考えていた可能性がある。
墜落事故の対応から、星間外交へ。この切り替えの早さは、さすがアメリカというべきか、あるいは「そういう計画がもともとあった」と考えるべきか。
しかしセルポからの返信は長らく届かず、その間にイーブワンの健康状態は悪化していきました。それでも軍はこの沈黙の期間を無駄にはしなかった。イーブワンから彼らの言語「セルポ語」を学び、最終的には約3割を理解できるレベルにまで達したそうです。
そして最初の通信から5年後の1952年、ついにセルポからの返信が届きます。
救助チームの派遣、遺体の回収、そして両惑星間での人的交流プログラムの受け入れ──すべてが承認されたという内容でした。
しかし、イーブワン本人はその返信を待たずして、その年のうちに亡くなってしまいます。
異星の地で、たった一人で5年間。故郷からの返事を待ちながら。
この部分は、都市伝説とかUFOとか関係なく、純粋に切ないなと僕は思いました。
選ばれし12人の条件
セルポ計画の実行が決まり、アメリカ政府と軍は惑星セルポに派遣するメンバーの選抜を開始します。
この選抜基準がまた、異様に具体的なんです。
独身で子供がいないこと。軍での訓練歴が4年以上あること。それぞれが異なる専門技能を持っていること。さらに、選ばれた者は公式記録から完全に抹消され、「もともと存在しない人物」として扱われること。
つまり、この計画に参加した時点で、その人は地球上から「消える」わけです。家族にも友人にも、二度と会えない可能性がある。
最終的に選ばれた12人の内訳は、陸軍2名、海軍2名、空軍5名、医師1名、科学者1名、言語学者1名。さらに補欠として4名が選出されました。
彼らに課された訓練は凄まじいものだったようです。一般的な宇宙飛行訓練はもちろん、セルポ語の言語学習、極限状況でのサバイバル訓練、そして19種類もの分野の知識と技術の習得。
中でも印象的だったのは、棺桶ほどの大きさの箱に入れられ、地中深くに埋められた状態で、限られた酸素と食料だけで5日間生活するという訓練です。
これ、想像しただけで息が苦しくなります。僕なら30分で「もう出してください」と泣きながら叫んでいる自信があります。
また、ロズウェルで回収された円盤型宇宙船の修復が完了し、その操縦訓練まで行われたそうです。訓練がネバダ州付近で実施されたため、この時期にUFO目撃情報が多発したのは偶然ではなかった──という話も、妙につじつまが合うから怖いんですよね。
1964年4月24日、出発の日
1964年4月24日、ついにイーブたちの宇宙船が地球に到着します。
彼らはまず、宇宙船の墜落事故に対する謝罪と、イーブワンを保護してくれたことへの感謝を述べたそうです。そしてお礼として、音声を認識して瞬時に翻訳する高度な翻訳機をプレゼントしてくれた。
イーブたちに言わせれば「それほど高度な技術ではなく、地球でも十分に普及できるレベルのもの」だそうです。
……2020年代の今でさえ、リアルタイム翻訳はまだ完璧とは言えないのに、1960年代にそれを「大したことない」と言える文明。このスケール感の差に、ちょっとしたおかしみすら感じます。
12人のメンバーと約41トンの物資が宇宙船に積み込まれ、いよいよ惑星セルポへの旅が始まります。
宇宙船内部は三層構造で、最下層が物資の格納スペース、中間層がイーブたちとメンバーの生活区域、最上層が操縦室。座席はイーブたちの体格に合わせて作られているため、人間にはちょっと窮屈だったとか。
宇宙船が動き始めた瞬間、メンバーの1人が気を失ってしまったそうです。まあ、気持ちは分かる。地球を離れるって、そういうことですよね。
大気圏を脱出すると、巨大な母船が姿を現し、宇宙船はそのまま母船の中へ。母船の内部は天井の高さが約30メートル、一つのエリアから別のエリアへの移動に15分以上かかるほどの規模。そして母船の動力源は、わずか20センチ四方のキューブだったというんです。
この「小さなキューブで巨大な母船を動かす」という描写は、僕たちの物理学の常識では説明できません。でも逆に言えば、我々が知っているエネルギーの概念自体が、宇宙全体で見ればごく一部の理解でしかないのかもしれない。そう考えると、ちょっとだけ世界の見え方が変わる気がします。
惑星セルポでの暮らし
約10ヶ月の航海を経て、チームはついに惑星セルポに到着します。
降り立った瞬間、メンバーたちを襲ったのは猛烈な暑さ。気温は摂氏41度、頭上には2つの太陽が輝いている。サングラスなしでは目を開けることすら困難だったそうです。
周囲はアリゾナやニューメキシコの砂漠を思わせる不毛の大地。植物は一切見当たらない。
ただし、イーブたちが案内してくれた居住スペースは室温が23〜25度に設定されていて快適だったとか。建物の表面はシリコンのようなスポンジ状の柔らかい素材でできており、壁も床も家具もすべてその素材で作られていたそうです。
僕がセルポの暮らしで特に面白いと思ったのは、以下のポイントです。
イーブたちは眠らない。 活動の合間に休息を取るだけで、人間のような睡眠の概念がない。しかもセルポには夜がないので、そもそも昼夜のサイクル自体が存在しません。
数学の概念がない。 地球人が数式で表現することを、彼らは「頭の中の感覚と少ない言語」で共有する。そしてそれを可能にしているのは、圧倒的な知能。チームの中で最も頭脳明晰なメンバーの見積もりでは、イーブたちの平均IQは人間をはるかに超えていたという。
お金という概念もない。 必要に応じて物資の配給を受けるシステムで、店も買い物も存在しない。人口は約65万人で厳格に管理されており、子供は最大2人まで。犯罪もないとされています。
正直、この社会構造を聞いたとき「ユートピアっぽいけど、自由はあるのか?」と思いました。犯罪がない社会というのは、裏を返せば「犯罪が起きないように徹底管理されている社会」かもしれない。人口制限も子供の数の制限も、合理的ではあるけれど、個人の意思よりもシステムが優先される世界です。
でも、それを「怖い」と感じるのは僕が地球人だからであって、彼らにとってはそれが何千年も続いてきた当たり前の生き方なのかもしれません。
クローン問題と倫理のズレ
セルポでの生活が3年ほど経った頃、ちょっとした事件が起きます。
チームリーダーが、セルポへの航海中に亡くなったメンバーの遺体を確認させてほしいと要求したところ、イーブたちは「もうすぐ彼のクローンが完成するから安心してほしい」と答えたんです。
……いや、安心できないでしょ。
リーダーが詰め寄ると、イーブたちは「地球人の遺体を使ってクローンを作っていた」と説明。しかも彼らは本気で「地球人が喜ぶと思ってサプライズでやっていた」らしい。
この場面、ゾッとすると同時に、どこか考えさせられるんですよね。
イーブたちの文明では、自分の体を科学実験やクローン作成のために提供することは「非常に名誉なこと」だった。つまり彼らにとっては善意100%の行動だったわけです。
でも地球人にとっては、同意なく遺体を実験に使われることは倫理的に受け入れがたい。
どちらが正しいとか間違っているとかじゃなくて、「善意」の定義が文明によって根本的に違うという事実が、僕には一番怖く感じました。これって、地球上の異文化間でも起こりうることですよね。自分にとっての「良いこと」が、相手にとってはまったく違う意味を持つ。
結局リーダーの訴えにより、イーブたちはクローン作成を中止し、遺体には一切関与しないと約束してくれたそうです。このあたりの対応は、彼らにも「相手の文化を尊重する」という姿勢があったのだと感じます。
セルポの大地を巡る冒険
チームはイーブたちの提案で、惑星セルポの各地を巡る大規模な遠征に出ます。
南半球に向かうと、気温はどんどん上がっていき、最大57度を記録。地表の亀裂からは溶岩が噴き出し、見渡す限り真っ黒な大地が広がっている。
しかし北半球に入ると、景色は一変します。一面が植物で覆われ、気温も30度ほどに。地球では見られないほど巨大な植物が奇妙な形で生い茂り、小動物から牛のような大型動物まで様々な生物が存在していたそうです。
チームが特に気に入ったのは、一面が吸盤を持つ植物で覆われた丘で、リーダーはそこを「クローバーフィールド」と名付けた。そこでイーブたちと食事をしたり休憩したりする日々は、なんだか不思議と「ピクニック」のような雰囲気だったんじゃないかと想像します。
また、チームが蛇のような生き物を捕まえて食べたところ、イーブたちは動物の肉を食べるという行為をとても嫌がっていたそうです。このエピソードも興味深い。数千年の歴史を持つ超高度な文明が、「肉食」に抵抗感を持っているという事実は、なんだか考えさせられるものがあります。
帰還、そして消えた2人
セルポでの生活が10年を超え、ついに地球に帰る日がやってきます。
しかし、12人全員が帰ったわけではありません。
2人のメンバーがセルポに残ることを希望し、軍もそれを認めたのです。セルポからの情報を引き続き受け取れるなら、彼らを残す価値があると判断したからだとされています。
残る10人はイーブたちの宇宙船に乗り込み、新型の宇宙船のおかげで約9ヶ月で地球に帰還。帰還後は1年間隔離され、この任務に関する聴取を受けた後、新しい身分と多額の報酬が与えられ、残りの人生を地球で過ごしたそうです。
そしてセルポに残った2人との通信は、1988年頃まで続いたけれど、それ以降は途絶え、彼らの消息は分かっていない──。
この「消息不明」という結末が、僕はこの話の中で一番重く感じました。
自分の意志で異星に残った2人は、その後どう生きたのか。イーブたちの社会に完全に溶け込んだのか。それとも、地球を懐かしむ日々を送ったのか。答えは、たぶん永遠に分からない。
僕がこの話に感じること
さて、ここまで読んでくれた方の中には「で、これ本当の話なの?」と思っている人も多いでしょう。
正直に言えば、僕にも分かりません。
この話の出どころは、2005年にUFO研究家のウェブサイトに届いた匿名のメール。差出人はアメリカ国防情報局(DIA)の元職員を名乗り、約3000ページにも及ぶ未公開の報告書に基づく情報だと主張していました。
物的証拠はありません。科学的な検証もされていません。
でも僕は、「嘘か本当か」という二択で片付けてしまうのは、ちょっともったいないと思っているんです。
たとえばこの話に出てくる「数学の概念を持たない超知的生命体」という設定。これって、僕たちが「知能」というものを数学や論理で測ることに慣れすぎていることへの問いかけにも見える。知能の形は一つじゃないかもしれないという発想は、地球上の教育や評価の問題にもつながる話です。
あるいは「善意のつもりでクローンを作っていた」というエピソード。これは異文化コミュニケーションの本質的な難しさを突いていて、フィクションだとしても、その洞察は鋭い。
僕がこういう都市伝説や考察系の話を追いかけるのは、「真実を暴きたい」からじゃないんです。
こういう話を通して、自分が当たり前だと思っている価値観の輪郭がくっきり見えてくる。それが面白いんですよね。
セルポ計画が事実かどうかは、もしかしたら永遠に分からないかもしれない。でも、39光年先の惑星で人間とイーブが野球をして遊んでいた光景を想像すると、なんだか少し笑えてくるし、同時に「宇宙って広いな」としみじみ感じる。
この壮大な話がフィクションだとしても、これを作った人間の想像力は本物です。そしてもし事実だったなら──それはもう、人類史上最大のロマンだと僕は思います。



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